俺たち、友達だよな?

翔燎翔の飲み会。燎→翔の片想い。傾きそうで傾かない、危ういバランス。
※途中からAIが書きました。明らかな矛盾や口調の違和感だけ手作業で修正。翔琉がモブ女子に恋してます。 






「それにしても、リョウはほんとにビールが似合わないよな」
 翔琉は口からジョッキを離して笑った。燎が泡とビールのバランスを確かめながら一口目を味わっている間に、翔琉はもう四分の一ほど飲んでいた。グラスの内側に薄く残った白い泡が、ゆっくりと滑り落ちていく。
「褒めてるのか貶してるのか分からないんだが」
「両方」
「たちが悪いな」
 燎は目の前の無邪気な顔にため息をつき、箸を取って二人の間にある皿に手を伸ばした。

――――――ここからAI――――――

 出汁巻き卵である。
「あーっ! それ俺の!」
「早い者勝ちだろ?」
「横暴だぞ!」
「朝から何も食べてないんだ」
「だからってさぁ……ま、いいけど」
 翔琉は口を尖らせ、自分の皿にあった唐揚げを差し出した。
「これもやるから元気出せ」
「お前こそ横暴じゃないか」
「いやいや、俺は親切だよ? 感謝しろよ?」
「恩着せがましいにも程があるだろ……」
 呆れながらも箸を伸ばしたのは、好物だったからだ。衣がサクッとしていて、中がジューシー。味付けも濃すぎず薄すぎずちょうどいい。文句なしに美味しい。
「美味しいな」
「だろ?」
 得意げに笑う翔琉を見ていると、本当に憎めない奴だと思う。その笑顔の裏には、優しさとか温かさみたいなものがちゃんとあるのだ。それはきっと、誰に対してもそうなのだろうけど。
「……そういえば、あの子どうした?」
「ん?」
「ほら、例の子。今日も一緒じゃないのか?」
「ああ……なんか用事あるみたいでさ。先に帰ってると思うんだけど」
「そうか」
 少し寂しそうな声音になった気がしたのは、たぶん気のせいではない。
「ま、また明日会えるだろ。それより、昨日のあれ見たか!?」
「あれって?」
「『恋は下心』っていうドラマ! すっごい面白いから見てみろよ!」
「恋愛ドラマなのか?」
「そうだよ! 純愛ものだけどキュンキュンするシーンがあってさ、見終わったあとめっちゃ幸せな気分になれるんだよ!」
「へえ……」
 正直、興味がないわけではない。ただ、自分がそういうものを見ている姿を想像すると、なんだかもどかしくて恥ずかしくなるのだ。
「そのうち見るよ」
「絶対ハマるから! 今度貸してやるよ!」
「ありがとう」
 微笑んでみせると、翔琉は嬉しそうに笑った。
「リョウは優しいなぁ〜」
「は?」
「普通なら貸し借りなんて面倒くさいって思うところなのに」
「……別に、大したことじゃない」
 照れ隠しにビールを飲み干すと、翔琉が自分の分と合わせて注文してくれた。

「リョウってモテるだろ」
「……急にどうした」
「いや、だってさ。リョウのこと好きになる女の子いるだろ。美人だし、頭良いし、料理できるし、性格も良いし」
「そりゃどうも」
「でもリョウ彼女作らないじゃん。何で?」
「作る必要がないからだ」
「……好きな人とかいないの?」
「いないな」
「ふぅ〜ん」
 翔琉は意味深な笑みを浮かべ、運ばれてきたばかりのジョッキを掲げた。
「それじゃあ、俺と付き合おうぜ」
「……」
「おい、なんとか言えよ。冗談だよ」
「……トモはたまに、本当に馬鹿だよな」
「はぁ!?」
「そんな簡単に付き合うとか言うものじゃない」
「簡単じゃないって! 真面目だよ!!」
「余計たちが悪い」
「何でだよ!?」
「何でも」
 この男は、時々こうして突拍子もないことを言う。そのたびに驚かされるのだが、同時に心配にもなるのだ。誰かを傷つけたりしないだろうか、とか。
「……あの子は大丈夫なのか?」
「え?」
「だから、お前の好きな人だよ」
「ああ……うん。大丈夫」
「そうか」
「……なぁ、リョウ」
「何だ」
「俺たち、友達だよな?」
「当たり前だろ」
「だよな!」
 屈託のない笑顔を見て、なぜかほっとした。

 そうこうしているうちに時間が過ぎ、時計の針が十時を指した頃、二人は店を出た。酔った身体に夜風が心地よい。
「あー楽しかった」
「それは良かった」
「もう一軒行くか?」
「いや、帰る」
「じゃあさ、送ってくれよ」
「トモの家まで?」
「いやいや、そこまではいいよ。駅の改札前までで」
「分かった。駅までだぞ」
「やった!」
 弾むような足取りの背中を眺めながら、ゆっくりと歩く。
「リョウ」
「ん?」
「ありがとう」
「……ああ」
 素直に感謝されると調子が狂う。それが翔琉の場合だと尚更だ。
「なあ、トモ」
「ん?」
「今日は悪かったな」
「え? 何が?」
「ほら、昼飯奢るとか言っただろ」
「ああ、別にいいよ。もともと無理矢理誘ったわけだし。それに……」
 翔琉は立ち止まって振り向き、まっすぐにこちらを見た。
「俺は、リョウと飲みたかっただけだから」
「……」
「何だよ、その顔」
「……何でもない」
 翔琉のこういうところが、本当にずるいと思う。
「リョウってさ、やっぱり優しいよな」
「どこがだ」
「そういうところ!」
「はいはい」
 再び歩き出した翔琉の後を追う。
 駅に着くまでの間、燎は何も言わなかった。